The Graph（GRT）とは何か、その仕組み
GRT/ザ・グラフ概要
The Graph（グラフ、GRT）は、ブロックチェーンデータのインデックス化およびクエリを可能にする 分散型オープンソースプロトコル です。2018年、Yaniv Tal、Brandon Ramirez、Jannis Pohlmann によって創設されました。
Ethereumネットワーク上でのデータクエリを可能にするよう設計されており、開発者は「サブグラフ」と呼ばれるAPIを構築することで、さまざまな分散型アプリケーション（dApps）のためのデータアクセスを実現できます。この仕組みにより、クエリのセキュリティ、データの最終性、チェーンの再編成などの課題が解決されます。
The Graphは「ブロックチェーンデータのためのグローバルAPI」を提供することを目的とし、分散型アプリケーションにおけるデータの取得と活用を効率化します。
GRT/ザ・グラフの仕組み
- プロトコル構造
The Graphは分散型ネットワークにより運用され、ノード（Graph Node）がブロックチェーンデータをスキャンし、データの整理とインデックス化を行います。 - 参加者の役割
- インデクサー（Indexer）：ノード運用者。GRTをステーキングしてインデックス化とクエリ提供を実行。
- キュレーター（Curator）：データの関連性や精度を評価し、利用者が正確な情報にアクセスできるよう支援。
- デリゲーター（Delegator）：自身のGRTをインデクサーに委任し、間接的にネットワークを支援。
- GRTトークン
ネイティブ暗号資産GRTは、インデックス化報酬、クエリ料金の支払い、ネットワーク運営参加（ステーキングや投票）などに使用されます。
2021年4月には、The Graphのホステッドサービスが月間200億件以上のクエリを処理しており、急速な利用拡大を示しています。
GRT/ザ・グラフの歴史と創設者
- 創設：2018年、Yaniv Tal、Brandon Ramirez、Jannis Pohlmann により設立。TalはEthereum上でのdApp開発の難しさを経験し、分散型インデックス/クエリプロトコルの必要性を痛感したことが背景にあります。
- メインネットローンチ：2020年にThe Graphメインネットを公開し、完全分散型アプリケーション実現に向けた重要な一歩を踏み出しました。これによりサブグラフ生成量が急増しました。
特徴と独自性
- 世界初の分散型インデックス市場：The GraphはdApp向けにクエリとインデックスを提供する初のプロジェクトであり、Web3分野における独自のユーティリティを持ちます。
- サブグラフ：オープンかつパブリックなAPIとして、数千のdAppが利用可能。Ethereum、IPFS、PoAをサポートし、将来的にはさらに多様なネットワークに対応予定。
- ユーティリティ：従来の中央集権的サーバーを必要とせず、Web3環境におけるアプリケーション開発を容易にする。
トークノミクス
- 初期総供給量：100億GRT
- 発行モデル：インデックス報酬として新規発行（初年度年率3%、ガバナンスにより変更可能）
- バーンモデル：クエリ料金の1%および一部の手数料をバーンし、トークンのインフレ/デフレはクエリ需要に依存
- 資金調達：
- 公開トークンセールで1,200万ドル調達
- Coinbase Ventures、DCG、Framework Venturesなどの投資家からプライベートセールで500万ドル
- Multicoin Capitalより250万ドル出資
セキュリティとガバナンス
- インデクサー：ノード運用とGRTステーキングによりネットワークを保護
- キュレーター：データの分類・精度管理
- デリゲーター：ステーキング委任を通じて間接的にネットワークを強化
- ガバナンス：GRT保有者は提案への投票を通じ、プロトコル運営に参加可能
ウォレットと保管
GRTはERC-20トークンであるため、EthereumおよびERC-20互換ウォレットで保管可能です。
- ハードウェアウォレット：Ledger Nano S、Trezor One（高セキュリティ、上級者向け）
- ソフトウェアウォレット：Exodus、Coinomi（利便性重視、少額や初心者向け）
GRTの価値
The Graphの価値は以下の要素に基づきます：
- ネットワーク内で唯一の決済・報酬手段としてのユーティリティ
- dApp開発における必須のデータインデックス基盤
- トークン経済設計（ステーキング、報酬、バーンモデル）
- エコシステムの採用拡大とWeb3普及への寄与
投資家にとっては、Web3時代におけるdAppの基盤インフラとしての重要性が、GRTの市場価値を支える要因となります。
✅ まとめ
- The Graph（GRT）は分散型インデックスおよびクエリプロトコルとして設計されたERC-20トークン。
- 開発者はサブグラフを通じて効率的にデータを利用でき、dApp開発に不可欠な基盤を提供。
- インデクサー、キュレーター、デリゲーターが参加する経済モデルにより、ネットワークは運営・保護される。
- GRTは唯一の決済通貨としてネットワーク内で機能し、ステーキングやガバナンスにも利用可能。
