THORChain（ソーチェーン／RUNE）とは？
THORChain（RUNE） は、複数のブロックチェーン間で暗号資産をラップ（包み込み）することなく交換できる、分散型クロスチェーン流動性プロトコル です。
DeFi（分散型金融）の発展に伴い、異なるブロックチェーン間での安全かつ迅速な資産交換と流動性の確保が求められる中、THORChainはこれらの課題を解決する革新的なソリューションとして注目されています。
THORChainは当初Cosmosネットワーク上で開発されましたが、需要の高まりを受けて2021年4月に独自のメインネットをローンチ。現在は複数チェーン間の資産スワップを可能にする完全な分散型プロトコルとして稼働しています。
プロジェクトの概要
THORChain は、異なるネットワーク間での資産交換を可能にするクロスチェーン対応プロトコルです。
これにより、ユーザーは Bitcoin、Ethereum、Binance Smart Chain、Litecoin など異なるブロックチェーン上のトークンを、中央集権的な仲介者を介さずに直接交換できます。
また、THORChainは単なる取引プラットフォームではなく、ユーザーが保有資産を流動性プールに預けることで 利回り（イールド）を獲得 できる仕組みを提供しています。
これにより、取引者と流動性提供者の双方がプロトコルから利益を得ることができます。
THORChainの仕組み
THORChainは、Bancor DEX の「連続流動性プール（Continuous Liquidity Pools）」の仕組みを発展させたモデルを採用しています。
各ブロックチェーンのネイティブトークン以外の暗号資産は、THORChainのネイティブトークンである RUNE と共に流動性プールに預け入れられます。
ユーザーが、例えばBitcoinとEthereumのような異なるチェーン間で交換を行う場合、THORChainは以下の二段階スワップを自動で実行します：
- 最初の資産をRUNEに交換
- RUNEを目的の資産に交換
この 「ダブルスワップ構造」 により、完全な非カストディ型の資産交換を即時に実現しています。
また、流動性を提供するユーザーは預入額に応じた報酬を受け取り、スワップの検証を担当するノード（Validator）は、Proof of Stake（PoS） 方式に基づいてRUNEをステーキングし報酬を得ます。
ノードは最低100万RUNEをボンド（担保）することで検証者としての地位を得られます。
開発の背景と創設者
THORChainは匿名の開発チームによって立ち上げられたプロジェクトであり、中央管理組織やCEO、財団を持ちません。
開発活動はすべてGitHub上で公開されており、完全なオープンソース体制を採用しています。
開発者チームはノード運営者のためにコードをアップロードし、ノードはステーカー（RUNE保有者）のためにネットワークを維持します。
このように、THORChainは完全な相互依存的エコシステムを構築しており、スワッパー（利用者）が支払う手数料がプロトコル全体の経済を循環させる仕組みとなっています。
THORChainの特徴
- クロスチェーン対応の完全分散型交換
Ethereum、Bitcoin、Binance Smart Chainなど、異なるネットワーク間で即時トークン交換が可能。 - 非営利・手数料分配モデル
THORChainチームはプロトコル手数料を保有せず、全額をネットワーク参加者に分配。 - スリッページ防止と流動性保護
独自の手数料設計により、スリッページとインパーマネントロス（無常損失）のリスクを軽減。 - ユーザーフレンドリーなUI
複雑なクロスチェーン取引をシンプルに行える直感的なインターフェースを提供。
これらの特徴により、THORChainはDeFi領域における流動性の要としての地位を確立しています。
トークン（RUNE）の概要
- 総供給量：500,000,000 RUNE（上限固定）
- 流通供給量：約351,277,632 RUNE
- トークン規格：マルチチェーン対応（Cosmos、Binance Chain、Ethereumなど）
RUNEは、THORChainネットワーク全体を支えるマルチユーストークンとして機能します。
主な用途は以下の通りです：
- ネットワークガバナンスへの参加
- バリデータノードのボンディング
- 流動性プールへの預入と報酬獲得
- ネットワーク手数料および取引媒介トークン
供給上限が固定されているため、RUNEは将来的にインフレ耐性を持つ価値保存資産としての性質を持ちます。
セキュリティとコンセンサス
THORChainは Cosmos SDK 上に構築され、Tendermint（ビザンチン障害耐性型BFTプロトコル）と Proof of Stake（PoS） を組み合わせてネットワークの安全性を確保しています。
- PoS構造により、ノードはRUNEをステークしてネットワーク検証を行い、報酬を獲得。
- BFT合意に基づき、ネットワーク上のすべての取引は即時最終性（Instant Finality）を持って確定。
- 悪意のあるノードは自動的に検出・罰則を受ける仕組みが導入されています。
これにより、THORChainは高速・安全・完全分散型のクロスチェーン取引を可能にしています。
THORChainの利用方法
ユーザーはTHORChainを利用して、
- ETH、BTC、LTC、BNBなどの主要暗号資産を相互交換
- RUNEのステーキング
- 流動性プールへの資産預入による利回り獲得
- 分散型融資・借入
など、多様なDeFiサービスを活用できます。
RUNEをステーキングすることで報酬を得られるほか、ノード運営者としてネットワークに参加することも可能です。
推奨ウォレット
RUNEは BEP-2（Binance Chain）および ERC-20（Ethereum）規格に対応しているため、対応ウォレットに保管可能です。
- ハードウェアウォレット（Ledger、Trezorなど）：最も安全な保管方法。大量のRUNEを保管する経験者向け。
- ソフトウェアウォレット：スマートフォンやPC向けの無料アプリ。初心者にも適しており、カストディ型／非カストディ型を選択可能。
- オンラインウォレット（Webウォレット）：利便性が高いが、セキュリティ面ではやや劣るため少額利用や短期取引用に推奨。
まとめ
THORChain（RUNE） は、異なるブロックチェーン間の資産交換を可能にする次世代DeFiプロトコルです。
非カストディ型の設計により、ユーザーは自ら資産を管理しながら、高速かつ安全に取引できます。
また、スリッページを抑えた流動性提供と、強力なPoSセキュリティモデルにより、THORChainは今後のDeFiインフラの中核を担う可能性を秘めています。
分散型流動性の未来へ――
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