Arweave（AR）とは？ 分散型ファイルストレージネットワーク
Arweave（AR）は、GoogleやAmazonといった大手データ企業が提供するサービスと同等の機能を、より低コストで、そして何より分散型で提供します。Arweaveプロトコルは、余剰ストレージを持つ一般ユーザーと、データを保存したいユーザーを結びつける仕組みです。
AR暗号通貨を用いることで、プロトコルはデータを複製・保存・アクセス可能にする「マイナー」に報酬を与えます。さらに、マイナー主導のコミュニティガバナンスにより、不正コンテンツの保存・配信を抑制する仕組みも整っています。
Arweaveについてさらに知りたい方は、この分散型ファイルストレージネットワークの詳細を読み進めてください。
Arweave（AR）とは？
Arweaveは、分散型ファイルストレージネットワークとして、Google CloudやAmazon AWSなどの従来型クラウドインフラに対するWeb3の代替手段といえます。このネットワークの目的は、クライアントのデータを効率的に保存し、恒久的にアクセス可能な状態を維持することです。
中央集権型クラウドプロバイダーによるデータ保存が高額になる理由は多岐にわたります。大手データ企業は高度に洗練されたデータセンターへの投資が必要です。
利益を維持するために、これらの企業は特定の地域にのみ大規模なデータセンターを構築します。この場合、スケールメリットが大きな強みとなります。
そのため、大手データ企業は市場シェアの拡大や地域独占を通じて利益を上げることが可能です。
世界にはまだ十分な空き容量がある
一方、Arweaveの基本原則は、余剰ストレージの効率的な活用にあります。2023年現在、一般的なデスクトップPCには少なくとも1TBの容量が備わっています。
数年前まではこれは非常に大きな容量でしたが、データ保存コストは年々低下しており、個人ユーザーの多くはTB単位の容量を必要としていません。
データセンターに入っていないPCの未使用メモリ容量を合計すれば、世界には十分なストレージスペースが存在することが分かります。一般ユーザーは余剰スペースを貸し出すことで利益を得られます。そして、ここでArweaveが登場します。
Arweaveプロトコルの仕組み
Arweaveプロトコルでは、あらゆるコンピュータがネットワーク上で「ブロックをマイニング」できます。「マイニング」と聞くとBitcoinを連想しがちですが、ここでの意味は異なります。
具体的には、ストレージに余裕のあるコンピュータがネットワークの最新状態と同期し、配布されたファイルを複製し、他のユーザーがアクセスできることをネットワークに証明する仕組みです。
この**Proof of Access（アクセス証明）**コンセンサスプロトコルにより、データは永続的に利用可能な状態が保証されます。Proof of Accessに参加したコンピュータは、プロトコルのトレジャリープールからARコインで報酬を受け取ります。
Arweave（AR）の利用方法
クライアントがデータをネットワークに保存する際は、ARで支払いを行います。しかし、Filecoin、Storj、Siacoinといった競合プロジェクトとは異なり、Arweaveでは一度の支払いで200年間の保存を保証する仕組みになっています。
この一回限りの支払い額は、ハードディスクの平均価格、容量、故障率、保存データ量のトレンドなどに基づき算出されます（詳細は公式サイト参照）。
支払いは、Proof of Accessを持つデータキーパー（マイナー）に対する報酬として、分散型トレジャリーシステムのようなプールに保管されます。ストレージコストは時間とともに下がるため、一度の支払いでもマイナーへの報酬と新規ARコイン発行分を十分にカバーできます（最大供給量は6600万ARコイン）。
Arweaveネットワークでのマイニング
ArweaveでのマイニングはBitcoinとは異なります。データキーパー（マイナー）は、保存データが改ざんされていないかを数学的にチェックするため、計算リソースを消費します。
マイナーは空き容量に応じてバックアップするファイルを選びますが、複製するファイルが改ざんされていないことを確認する必要があります。改ざんされたファイルを保存しても意味がありません。
これを確認するために、「ファイル複製レシート」を参照します。各レシートはブロックとして記録されます（ブロックチェーンのような構造）。
たとえばJohn Mayerの音楽ファイルを複製する場合、複製記録がある2つのブロックを確認し、ブロックマーカーを検証します。新しいブロックを作成する際は、特殊な数学操作によりブロックマーカーが親ブロックを指すようにします。
もしファイルが改ざんされると、ブロックマーカーも変化し、無効なブロックとなります。この場合、Proof of Accessは無効となり、報酬は支払われません。
まとめ
デジタル時代において、クラウドによるファイル保存は社会機能に不可欠です。データを一つのデバイスに保持するだけでは不十分で、複数デバイスでの作業が一般的になっています。
Arweaveおよび競合プロジェクトの登場により、データ保存方法の選択肢が広がりました。選択肢が増えることで、巨大IT企業への依存度が下がり、より競争力があり効率的な価格設定が実現されます。
