BAT（ベーシックアテンショントークン）とは？その仕組みについて
デジタル広告が普及するにつれ、その欠点もますます明らかになってきています。インターネット利用者は、ページの読み込みを遅くし、プライバシーを侵害する煩わしい広告に悩まされています。これらの広告は、ユーザーの追跡やデータ共有を、同意の有無にかかわらず行うことが多くあります。
モバイル広告はバッテリー寿命を最大21%減少させ、平均的なユーザーの通信プランにおいて最大23ドルものデータ料金を発生させる可能性があります。
この結果として、世界中で数億台のデバイスに広告ブロッカーが導入されています。しかしその一方で、従来型の出版社やメディアは収益を失うことになり、現行の広告システムは明らかに破綻しています。
この問題を解決する可能性を秘めているのがBAT（ベーシックアテンショントークン） です。
BAT（ベーシックアテンショントークン）とは？
BAT（ベーシックアテンショントークン） は、Ethereum（イーサリアム）ブロックチェーン上に構築された暗号資産で、3,300億ドル規模のデジタル広告業界を変革することを目的としています。BATは、ブロックチェーン技術に基づいた分散型広告取引プラットフォームを構築し、不正を排除した透明な広告エコシステムを実現します。
このプロジェクトの開発チームによって作られた Braveブラウザ は、広告主・出版社・ユーザーを相互に利益をもたらす形で接続する仕組みを提供します。
BATはその中心となる報酬単位であり、
- 出版社にはより高い収益を、
- 広告主にはより効率的な広告配信を、
- ユーザーにはプライバシー保護と報酬機会を
提供します。
仕組み
Braveブラウザ はオープンソースのプライバシー重視型ブラウザで、デフォルトで不要な広告やトラッカーをブロックします（Brave Shields機能）。同時に、内蔵の台帳システムによってユーザーの広告閲覧行動を匿名で測定し、ユーザー体験を最適化します。
このシステムは、広告がユーザーにどの程度表示されたか（可視ピクセル数と表示時間）を計算し、端末上の機械学習機能を通じてユーザーに最も関連性の高い広告を表示します。すべてのデータは暗号化され、ユーザーのデバイス内にのみ保存されます。
ユーザーは「Brave Ads」を有効にすることで、広告を閲覧する時間に応じてBATで報酬を受け取ることができます。また「Brave Rewards」を使用すると、毎月のBAT寄付額を閲覧サイトに自動的に分配できます。
さらに、YouTube・Twitter・Redditなどでお気に入りのクリエイターに直接チップを送ることも可能です。
開発者・歴史
Brave Software は2015年、Brendan Eich（JavaScriptの開発者でMozilla Firefoxの共同創設者）と Brian Bondy によって設立されました。
2017年にBATがローンチされ、わずか1分足らずで3,500万ドルを調達するという当時最速級のICO（Initial Coin Offering）を記録しました。
ただし、BATのICOでは約130人のみが購入し、そのうち5人が総供給量の半数を保有する結果となり、他の暗号プロジェクトと比較して分散性が低いとの指摘もあります。
正式版ブラウザ「Brave 1.0」は2019年11月にリリースされ、Brave Shields、Brave Ads、Brave Rewardsといった主要機能が初めて導入されました。
BAT（ベーシックアテンショントークン）の特徴
Braveは他のブラウザと異なり、ユーザーの注意を測定するための台帳システムと広告ブロッカー機能を備えています。その結果、ページの読み込み速度は競合ブラウザより高速です。
BATは効率的な新しい広告マーケットプレイスを創出し、広告主・ユーザー・クリエイターすべてに利益をもたらす革新的な仕組みを提供します。
Wikipedia、The Guardian、The Washington Post、50 Centなど、100万人以上の認定クリエイター がBAT報酬システムに参加しています。
BATの価値とトークン情報
- 総供給量：15億BAT
- 流通量：ほぼ全量が流通済み
- ICO販売量：10億BAT
- 開発プール：2億BAT
- ユーザー成長プール：3億BAT
BATはEthereumブロックチェーン上のERC-20トークンとして発行され、コンテンツクリエイターの報酬支払い、広告キャンペーンの実施、Brave Rewardsなどで使用されます。
BATの価値は、Braveエコシステム内でのユーティリティ（利用価値）によって支えられています。
利用方法とウォレット
BraveブラウザはUpholdウォレットと連携しており、広告報酬として獲得したBATを直接送金・管理できます。KYC（本人確認）を完了することで、BATを引き出すことが可能です。
また、BATはERC-20トークンのため、Ledger、Trezorなどのハードウェアウォレットや、MetaMaskなどのソフトウェアウォレットでも保管可能です。
セキュリティを重視する場合はオフライン保管型ウォレットを、利便性を重視する場合はソフトウェアウォレットや取引所ウォレットを利用するのが一般的です。
BAT（ベーシックアテンショントークン）の目的
BATは、
- 不正広告やデータ追跡の問題を解決し、
- ユーザーに公平な広告体験を提供し、
- クリエイターに適正な報酬をもたらす
ことを目指しています。
Braveブラウザはプライバシー保護・広告収益の分配・快適なブラウジングをすべて両立する新しいWebモデルを提示しています。
BATの採用はすでに拡大しており、DeFi（分散型金融）やNFT領域にも進出を予定しています。
