仮想通貨ビットコインキャッシュ（BCH）とは？その仕組みとは？
ビットコインキャッシュ（Bitcoin Cash、BCH） は、世界で最も歴史が古く、広く知られている暗号資産である ビットコイン（BTC） から分岐（ハードフォーク）して誕生した暗号資産です。Ethereum（ETH）のような独自のネットワークとは異なり、ビットコインキャッシュはビットコインのコードベースを基盤としながら、異なるスケーリング手法を採用することでビットコインネットワークの代替を目指しています。最大の相違点は ブロックサイズ にあります。
現在、ビットコインキャッシュ（BCH）は時価総額で第22位に位置し、総額は約135億米ドル、価格は1BCHあたり725米ドル前後となっています。本記事では、ビットコインキャッシュの基本から仕組みまでをわかりやすく解説し、これからBCHの取引を始めたい方に向けて理解を深めていただける内容を提供します。
ビットコインキャッシュ（BCH）とは？
ビットコインが誕生して以来、そのスケーラビリティに関して多くの議論が行われてきました。ブロックチェーンは革新的な台帳管理技術ですが、ビットコインは 拡張性よりもセキュリティと安定性 を優先しています。
その結果、ビットコインは取引処理速度が遅く、例えばVISAのクレジットカードが1秒あたり約1,700件の取引を処理できるのに対し、ビットコインは1秒あたりわずか7件、しかも承認には平均10分程度を要します。
こうした問題を解決するため、2017年8月、ビットコインの一部マイナーと開発者がSegWit2xの導入に反対し、ブロックサイズを拡大する新しいコードを公開したことで ビットコインキャッシュはハードフォークによって誕生 しました。
ビットコインキャッシュの仕組み
ビットコインキャッシュはビットコインとコードが非常に似ているため、基本的な仕組みや利用方法はほとんど同じです。
最大の違いは スケーリング戦略 にあり、ビットコインがブロックサイズを増やさずに新技術で対応するのに対し、ビットコインキャッシュは ブロックサイズの拡大 によってスケーラビリティを確保しています。
また、ビットコインと同様に プルーフ・オブ・ワーク（PoW）コンセンサスアルゴリズム を採用し、SHA（Secure Hash Algorithm）によるセキュリティを維持しています。
創設者について
ビットコインキャッシュは、スケーリング問題を巡る長期的な対立に疲弊したマイナーや開発者によって誕生しました。彼らは新しいソフトウェア「Bitcoin ABC」を公開し、2017年8月1日に一般向けに正式リリースしました。
特に ロジャー・バー（Roger Ver） はビットコインキャッシュの主要な支持者として知られていますが、彼自身がBCHを作ったわけではなく、その理念に賛同して広めた人物です。
ビットコインキャッシュの特徴
ビットコインキャッシュは、ライトコインのように「ビットコインの兄弟的存在」としてではなく、ビットコインの直接的な競合相手 として位置づけられます。
ビットコインがSegWitやライトニングネットワークを利用するのに対し、BCHは ブロックサイズ拡大という異なるアプローチ を採用しています。
その結果、BCHは現時点で 1秒あたり最大61件の取引処理が可能 となり、ビットコインよりも高い処理能力を備えています。
ビットコインキャッシュの価値の源泉
BCHの価値は、ビットコインと同様に 最大供給量2,100万枚 という限定性に由来します。さらに、高速かつ低コストで取引可能な暗号資産への需要 が増加していることも価値を押し上げています。
現在、流通しているBCHは約1,850万枚（全供給量の約89％）であり、マイナーはブロックを承認することで報酬を得ています。2021年4月には半減期を迎え、ブロック報酬が半分に減少しました。
ネットワークのセキュリティ
BCHのセキュリティはビットコインと同一で、PoWアルゴリズムとマイナーによる分散的な検証によって維持されています。
ビットコインキャッシュの利用方法
ビットコインキャッシュは 決済手段 として利用されることを目的としています。現在は対応する加盟店がまだ少ないものの、BCHはサトシ・ナカモトの理念である「ピア・ツー・ピア電子決済システム」を実現することを目標としています。
まとめ
ビットコインキャッシュは、ビットコインを支持しつつも、そのスケーリング手法には異議を唱える人々によって生まれた暗号資産です。BCHはライトニングネットワークのようなオフチェーン解決策を採用せず、ブロックサイズ拡大によるオンチェーンスケーリング を追求しています。
現時点でビットコインよりもスケーラビリティに優れているものの、依然として「決済に十分な取引速度」には至っていません。しかし、将来的にはレイヤー2技術を活用するビットコインを超える可能性を秘めています。
