クアンタム（QTUM）とは？仕組みと特徴のすべて
ビットコインは価値を安全に移転する手段を提供しましたが、イーサリアムはその上に分散型アプリケーション（dApp）を展開できる機能性を加えました。
Qtum（クアンタム） は、ビットコインのセキュリティとイーサリアムの柔軟性を融合し、効率的でコストパフォーマンスに優れたハイブリッド型ブロックチェーンプラットフォームを目指して開発されたプロジェクトです。
Qtumの仕組みや利用方法がよく分からないという方も安心してください。この記事では、Qtumの基本からその技術的特徴、価値、そして活用方法までを詳しく解説します。
クアンタム（QTUM）とは
Qtumは、Proof of Stake（PoS）方式のピアツーピアネットワーク上に構築されたオープンソースのパブリックブロックチェーンです。
ビットコインの取引モデルであるUTXO（未使用トランザクション出力）を採用しつつ、スマートコントラクトの柔軟性を追加しています。
また、ブロックチェーン開発や分散型アプリケーション（dApp）構築のための開発リソースや、複数のウォレットエコシステムを提供しています。
Qtumチームは、オープンソースのグローバル開発者ネットワークに加え、世界有数の大学研究者とも連携しています。
Qtumのアプリケーションはブロックチェーン技術を現実世界と結びつけ、企業向けに開発環境やカスタマイズ可能なブロックチェーンソリューションを提供することを目指しています。
ネイティブトークンである QTUM は、スマートコントラクトの実行に必要なガス代の支払いに使用されるほか、ステーキングによるネットワーク保護やガバナンスへの参加にも利用されます。
また、Qtum独自のトークン規格である QRC-20トークン の発行も可能で、これらはdApp内で利用されます。
クアンタム（QTUM）の仕組み
クアンタム（QTUM）はビットコインのUTXOモデルを採用しています。
UTXOとは、取引後に未使用として残る暗号資産の出力量を意味し、現金取引における「お釣り」に相当します。
これらは台帳に継続的に記録され、秘密鍵によってのみ使用が可能です。
Qtumではさらに、イーサリアム互換の x86仮想マシン（x86 VM） を導入し、スマートコントラクト機能を実装しています。
x86 VMはRust、C、C++、Pythonといった主要プログラミング言語をサポートし、一般開発者による採用を促進します。
このUTXOモデルとEVM互換性を両立させているのが アカウント抽象化レイヤー（AAL） です。
AALはUTXOトランザクションを抽象化し、単一のアカウント残高として表示することで、EVM上のスマートコントラクトをスムーズに動作させます。
これにより、将来的なスマートコントラクト機能の拡張も容易になります。
また、Qtumの 分散型ガバナンスプロトコル（DGP） により、ハードフォークを行わずにブロックサイズや基本ガス料金などのネットワークパラメータを変更することが可能です。
クアンタム（QTUM）の創設者と歴史
クアンタム（QTUM）は2016年に パトリック・ダイ（Patrick Dai）、ジョーダン・アールズ（Jordan Earls）、ニール・マヒ（Neil Mahi） によって設立されました。
パトリック・ダイ氏はコンピュータサイエンスの修士号を取得後、VeChainおよび中国のマイニング企業Bitse GroupのCTOを務めた経験を持ち、現在はQtum財団の会長を務めています。
ジョーダン・アールズ氏は13歳からソフトウェア開発に携わり、Earl Grey Tech社の代表としても知られています。
ニール・マヒ氏はMBAを取得し、20年以上にわたりソフトウェア開発業界で活躍しています。
チームにはNASDAQ、アリババ、テンセント、バイドゥなどの出身者や、ビットコイン・イーサリアムコミュニティ出身の専門家も多数参加しています。
また、複数のベンチャーキャピタルや中国大手テクノロジー企業の幹部からも支援を受けています。
2019年には最初のハードフォークである Qtum 2.0 が実施され、機密資産、オフラインステーキング、クラウド統合などの新機能が導入されました。
クアンタム（QTUM）の特徴
クアンタム（QTUM）は、UTXOモデルにスマートコントラクト機能を追加した初のProof of Stakeブロックチェーンです。
ビットコインのセキュリティとイーサリアムの機能性を併せ持ちながら、より効率的なPoSコンセンサスを採用しています。
また、分散型ガバナンスプロトコル（DGP） と アカウント抽象化レイヤー（AAL） の導入により、高いパフォーマンスと柔軟性を実現しています。
さらに、Qtumは取引手数料の算出においてイーサリアムのガスモデルを採用しており、未使用ガスの返還や自由市場型の料金調整を可能にしています。
クアンタム（QTUM）の価値
クアンタム（QTUM）の価値は、その セキュリティ・機能性・効率性 の組み合わせにあります。
ビットコインとイーサリアムの互換性、豊富な開発リソース、複数言語対応により、幅広い分野での応用が可能です。
QTUMトークン自体は、スマートコントラクトの実行やQRC-20トランザクションの手数料支払いに利用されるため、開発者からの需要が継続的に発生します。
また、ステーキングを通じてネットワーク保護に貢献し、報酬を得ることができます。
ステーカーはプロトコルのガバナンスにも参加でき、その投票権は保有・ステーキング量に比例します。
発行量と流通状況
QTUMは総発行上限 107,822,406枚 とされ、初期発行は1億枚で2017年に行われました。
ブロック報酬は当初4QTUMで、約4年ごとに半減し、2045年に報酬がゼロとなる予定です。
初期配分は以下の通りです。
- 51％：一般ICO販売
- 8％：プライベートセール
- 12％：チーム割当（4年間ロック）
- 残り：Qtum財団による開発・研究・普及活動用
2021年6月時点で、世界60か国に1,253のQtumノードが分布しており、ビットコインとイーサリアムに次ぐ分散度を誇ります。
クアンタム（QTUM）の利用方法
クアンタム（QTUM）はイーサリアム互換のため、Ethereum上のdAppを容易にデプロイできます。
また、RustやC++などの主要言語をサポートしているため、一般的な開発者にも扱いやすい環境です。
QTUMトークンは、送金、ステーキング、スマートコントラクト実行およびQRC-20取引のガス代支払いに使用されます。
保有者はネットワークガバナンスにも参加可能です。
クアンタム（QTUM）ウォレットの選び方
クアンタム（QTUM）公式ウォレット「Qtum Core」は、デスクトップ・モバイル両対応でQTUMの保管が可能です。
用途や保有量に応じて、以下のタイプから選択できます。
- ハードウェアウォレット（Ledger、Trezor）
オフライン保管で最高レベルの安全性を提供。大量保有者や上級者に最適。 - ソフトウェアウォレット（Qtum Electrum、Atomicなど）
スマートフォン・PCで無料利用可能。利便性が高く、少額保管に向く。 - オンラインウォレット（Webウォレット）
Qtum公式サイトなどで利用可能。利便性は高いが、ホットウォレットのためセキュリティリスクがある。
信頼性の高いサービス（例：https://okwallet.jp）を利用すれば、安全な保管とスムーズな取引が可能です。
Proof of Stake（PoS）メカニズム
クアンタム（QTUM）は Mutualized Proof of Stake（MPoS） を採用しています。
これはPoS 3.0を改良した仕組みで、コインを長期間ステークする参加者を優遇し、二重支払い攻撃を防止します。
さらに、ブロック報酬を分配し支払いを遅延させることで、スパム攻撃を防ぐ構造になっています。
ステーキングによって、スマートコントラクトのガス代、取引手数料、新規発行QTUMを報酬として受け取ることができます。
ステークに必要な最低保有量は設定されていませんが、保有量が多いほど報酬獲得確率が高くなります。
まとめ
クアンタム（QTUM）は、ビットコインのUTXOモデルとイーサリアムの仮想マシンを組み合わせることで、
「セキュリティ」と「機能性」の両立を実現した革新的なブロックチェーンです。
Proof of Stakeの採用により、高効率かつ環境に優しいネットワーク運用を可能にしています。
開発リソースや多言語対応により、金融・IoT・モバイル・DeFiなど多様な分野での利用が期待されています。
QTUMトークンは、ステーキング・ガバナンス・手数料支払いなどエコシステムの中核を担う存在です。
Qtumネットワークが拡大し、ブロックチェーン技術の採用が進むにつれ、QTUMの価値はさらに高まる可能性があります。
