パイネットワーク（PI）とは？
概要
パイネットワークは2025年2月20日にパブリックブロックチェーンをローンチし、ネイティブ暗号資産であるPIコインを用いた分散型アプリケーション（dApps）へのアクセスや外部ウォレット送金機能を実現しました。
PIコインは現在、暗号資産取引所を通じて売買が可能であり、現物取引に加えCFD（差金決済取引）による価格変動への投機も行われています。
パイネットワークの仕組み
Pi Networkは2018年、スタンフォード大学の研究者 Nicolas Kokkalis 博士とChengdiao Fan 博士によって設立されました。目的は、専門的なハードウェアや大量の電力を必要とせず、モバイル端末を通じて暗号資産を誰もが利用可能にすることです。
利用者はモバイルアプリをインストールし、24時間ごとにアプリ内のボタンをタップすることで、ネイティブトークンであるPIコインをマイニングできます。新規ユーザーは招待制で参加し、他者を紹介することで追加報酬を得ることができます。
Pi Networkにおける4つのユーザーロール
- パイオニア（Pioneers）：モバイルアプリでPIを採掘する個人
- コントリビューター（Contributors）：信頼できる3～5人のコンタクトを形成し、ネットワークセキュリティを強化
- アンバサダー（Ambassadors）：紹介活動を通じてネットワークを拡大
- ノード（Nodes）：PC上でPiノードソフトウェアを運用
Pi Networkは、ステラコンセンサスプロトコル（SCP）を改良した仕組みを採用し、計算能力ではなくユーザー間の信頼に基づいてトランザクションを検証します。マイニングレートは一定の採用マイルストーンごとに半減し、インフレを制御する設計となっています。
2025年2月のパブリックローンチ以降、Pi Networkはモバイルマイニングを超えて、外部ウォレット送金、dApps対応、他ブロックチェーンとの互換性を備えるようになりました。
PIコインの価値
長期のテストと制限付き取引を経て、2025年2月20日にオープンメインネットが開始され、公式な価格データが取引所で記録されるようになりました。
- 2025年2月28日：1PI = 2.1377 USD
- 2025年3月4日：最高値 3.14 USD を記録
- しかし、その後の月間1億枚超のトークン解除と流動性不足により、3月31日には 0.7168 USD まで下落（ピーク比▲77.2%）。
- 2025年4月末：0.6145 USD に着地。
供給量
CoinMarketCapのデータによれば、2025年5月時点で流通量は約69.9億PI。
最大供給量は1000億PIに設定されており、配分は以下の通りです：
- マイニング報酬：65%
- コアチーム：20%
- 財団：10%
- 流動性：5%
ただし、実効供給量はコミュニティの移行状況に比例して増加する仕組みであり、ユーザー残高に対応するトークンのみが有効化されます。チームや財団の割当分も、コミュニティ移行に連動してロック解除されるため、市場の安定性とインセンティブの整合性が確保されています。
Pi Bridgeとは？
Pi Bridgeは2022年9月にサードパーティによって開発されたクロスチェーンプロトコルで、Pi Networkと外部ブロックチェーンを接続するために設計されました。
- 初期はBNBスマートチェーン（BEP20）に対応
- WPI（Wrapped PI）を発行し、DeFiアプリケーションでの利用を可能に
- 1:1で裏付けられたラップドトークンにより、異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現
なお、Pi BridgeはPi Network公式チームの開発物ではなく、独立した外部サービスであるため、利用には十分な注意と調査が必要です。
将来展望
Pi Networkの今後は、以下の要素に左右される可能性があります：
- 大手取引所への上場状況
- PIコインの需要
- ネットワークアップグレード
- 外部ブロックチェーンとの互換性
- ユーザー認証率
- トークン供給解放のスケジュール
- 開発者による採用
開発ロードマップ
| フェーズ | 名称 | 内容 | 開始年 |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | Beta | ユーザー獲得、マイニングアプリのテスト | 2018年 |
| フェーズ2 | Testnet | ノードによるテスト、テストPIを用いたdApp開発 | 2020年 |
| フェーズ3 | Enclosed Mainnet | 検証済みユーザーのみ利用可能なファイアウォール付きメインネット、内部送金とエコシステム整備 | 2021年 |
| フェーズ4 | Open Mainnet | 外部接続、取引所取引、ブロックチェーン相互運用性を備えた完全公開 | 2025年 |
具体的なアップグレード時期は未発表ですが、Pi Networkは今後のエコシステム拡大に向けて注目されています。
